この商品は、2022年1月〜2月に実施したクラウドファンディングで資金調達を行い、商品化することができました。

〜 商品開発ストーリー 〜

愛媛県で一番小さな町・松野町で大切に育てられた滑床(なめとこ)のアマゴとニジマスが、新型コロナウイルスの影響で行き場を失っていました。

▲愛媛県松野町の風景

豊かな森と水が育てた山の宝を「日本全国の人に一度食べてもらいたい。そして自然豊かな松野町にぜひ来ていただきたい」という想いで、滑床で育ったアマゴとニジマスのアヒージョの缶詰を作りました。挑戦に協力してくれたのは、フィッシュガールとして海外にも飛び出し大活躍されている宇和島水産高校の生徒たち

▲プロジェクトに協力してくれた宇和島水産高校のみなさん

はじめに

はじめまして。愛媛県の情報を届けるFM愛媛です。

「愛媛の暮らしを豊かに」という想いで、私たちFM愛媛は地域の課題を解決するための取り組みに力を入れています。

日本最古といわれる道後温泉のある愛媛県は、大自然に囲まれ、瀬戸内の暖かな気候により豊かな幸を生み出してきました。しかし、少子高齢化や若者の流出に伴う人口減少などにより、地域が抱える悩みは大きくなってきています。そして新型コロナウイルスの影響による観光客の減少は、追い打ちをかける痛手となっています。

愛媛の中でも一番小さな町である松野町は、町土の84%が森林で、ここでしか味わえない四季折々の恵みがあります。生命の源ともいえる森、そこから生まれた水、その清水で泳ぐアマゴやニジマスは山の宝です。しかし、観光客の減少などにより、その宝は行き場を失っています。「滑床で育ったアマゴとニジマスのアヒージョの缶詰を、ぜひ皆さんに届けたい」という松野町の想いと、地域課題の解決をしたいというFM愛媛の想いが一丸となってこのプロジェクトを立ち上げました。

松野町ってこんなとこ

森が豊かな水をうみ、水が自然を育て、ここでしか味わえない逸品をうむ

愛媛県の西南部に位置し、高知県との県境、森の中にひろがる四万十川の支流である広見川と目黒川、なつかしいにおいがする里山、それが松野町です。「森の国」と呼ばれるほど、雄大な大自然が織りなす風景は壮観なだけでなく、自然のパワーに満ちあふれています。

渓谷を囲む山岳部にはブナ林をはじめ天然林が育ち、森林の土壌はろ過装置となって、透明で無垢な水を少しずつ湧き出し、森に恵みを与えてくれます。

「上を向いて口を開けていたら食べ物が入ってくる」という言葉があるほど、山菜や果物、鹿やイノシシなど松野町には四季折々の豊かな幸に恵まれています。

また目にも鮮やかな新緑や紅葉、澄んだ空気、川のせせらぎ、アマゴなどの渓流釣りなどを求め、松野町には多くの観光客が訪れます。そのひとつである滑床渓谷は、愛媛県宇和島市から松野町にまたがる四万十川支流の目黒川最上流12kmにおよぶ大渓谷です。

日本の滝百選に選ばれた雪輪の滝や滑床渓谷のある目黒川は、降水量が多く水量が豊富であり、上流は高月花崗岩(たかつきかこうがん)からなり良好な水質で、夏場の気温が30度を超える日でも水温は20度と水温が低いことが特徴です。アマゴ・ニジマス・鮎など豊かな恵みが育ち、ここでしか味わえない逸品です。

松野町が抱える課題

▲松野町について教えてくれた井上さん(松野町ふるさと創生課)

過疎化や後継者不足に直面!さらにコロナ禍が追い打ちをかける

かつて松野町は土佐と伊予を結ぶ交通、交易の要所として栄え、多くの資源と文化が育まれてきました。そして、その多くの恵みは大切に引き継がれています。

「この森に遊び、この森に学びて、天地の心に近づかむ」

松野町初代町長 岡田倉太郎が残したことばであり、大自然の森の国で生きる力、豊かな心を育んできた松野町の人々。しかし、今松野町は大きな課題に直面しています。様々な課題がありますが、大きく3つ取り上げてみました。

  1. 1.過疎化が進む

    松野町も少子高齢化や流出に伴う人口減少などにより過疎化に直面しています。現在、4000人ほどの人口で、そのうちの40%以上は高齢者であり愛媛県の中でも高いといえます。

  2. 2.後継者不足や雇用問題

    過疎化に伴い後継者不足よる農家の減少による耕地放棄の増加、生業のひとつであった林業の減少、不況の到来などによる施設の老朽化が増えてきています。また、雇用環境の悪化につながっています。

  3. 3.コロナ禍における食品ロス

    新型コロナウイルスによる飲食業や観光の激減が、食材の仕入れ量に大きく影響しています。それは食材を作る生産者にも影響が及び、食材は行き場をなくし廃棄せざるを得ない状況です。アマゴやニジマスも同様、出荷先が激減しています。

松野町の取り組み

▲取材当時の松野町役場庁舎内

松野町では様々な現状を受け止め、豊かな自然と歴史・文化資源の再発見、ブラッシュアップして地域の活性化を図ろうと積極的な取り組みを進めており、少しずつですがUターンや移住する方が増えはじめました。その矢先、新型コロナウイルスによる大打撃。現在、松野町では更なる観光客の減少などにより危機に直面しています。

滑床渓谷の渓流の水が育てたおいしいアマゴやニジマス

渓流釣りで人気のあるアマゴやニジマス。甘みあり、身がふっくらしておいしい魚です。清水を優雅に泳ぎ、まるで渓流の女王のような美しさで魅了させる日本固有のアマゴ。脇腹に赤い斑点(パーマーク)が特徴で、透き通るような清らかな水を好みます。

ニジマスは、大きなものになると80cm〜1mにもなり、体の側面にピンク色の帯が現れることで虹鱒と名付けられた外来種です。アマゴと同じく淡水魚で、水温の低い渓流などにいます。

滑床のアマゴやニジマスは、藤ヶ生川口にある滑床養魚場で育てられています。滑床渓谷の渓流を活かした取り組みとして、1960年に地元目黒の有志で「滑床養鱒組合」を発足。

当時、アマゴの養殖技術が確立されておらず、試行錯誤の中での技術確立でした。1971年に町施設となり、現在は2代目の竹内義富さんがアマゴ・ニジマス・鮎の養殖を孵化から行っています。

▲滑床養魚場でアマゴの養殖を行う竹内義富さん

アマゴは10月下旬に採卵・受精を行い、12月初めごろに孵化したら施設内の水槽に移し、6月頃に稚魚の出荷、7月頃60〜80gほどになれば出荷です。ニジマスは約2ヶ月後に同様の流れとなります。

採卵から出荷まで、水温や水量、餌の管理など手間暇がかかるので、松野町でもこの滑床養魚場のみで全国的にみても数が多くありません

滑床養魚場の魚が美味しい理由

滑床養魚場の一番の特徴は、高低差を利用して滑床渓谷の渓流を直接ひいていることです。常に水流が保てるので水の淀みがなく、また滑床のミネラルたっぷりのきれいで冷たい水で育ったアマゴやニジマスは、川魚独特のにおいがなくおいしく育っています

養魚場の出荷先は、地元のホテルなど滑床観光施設が中心でしたが、コロナなどによる施設休業で出荷先が激減し、手間暇かけ育ったアマゴやニジマスは行き場を失っています。また、今は町の施設ですが、いずれは組合に返すことで雇用につなげたい。という松野町の想いが、今回の商品にもつながっています。

宇和島水産高校の生徒が協力!開発に挑戦!

▲プロジェクトに協力してくれた宇和島水産高校のみなさん

松野町の宝ともいえる滑床のアマゴやニジマスの商品多角化を目指しています。

--- 2016年 ---

宇和海の魚について生産から販売まで研究をしている近隣の宇和島水産高校に、淡水魚の商品化について相談をしました。フィッシュガールとして海外にも飛び出し大活躍されている宇和島水産高校。担当されている先生が松野町在中という偶然とも必然とも言える不思議な縁、また宇和海の魚のみならず淡水魚の加工も研究してみたいという学校の意向に試作が始まりました。

一般的にアマゴやニジマスは塩焼きで食することが多く、洋風に挑戦することで新しい発見があるのではないかとアヒージョに決定。川の魚を見るのも触るのも初めての生徒も多く、試行錯誤しながら試作品1号ができました。

▲2016年に宇和島水産高校が作った試作品

--- そして、2021年… ---

そのレシピを元によりおいしくするために改良していこうと、現在高校2年生の生徒3人が挑戦します。しかしながら当時のレシピノートは残っておらず、そのときに担当された先生の指導の元、再現。ある意味、新たな挑戦です。

 ▲先輩のレシピの復刻に挑んでくれた宇和島水産高校のみなさん

「先輩の作ったレシピを元に、新たな挑戦をしたいです!」

と意気込みを語ってくれる生徒たち。

そして、「滑床で育ったアマゴとニジマスのアヒージョの缶詰を多くの方に食べてもらい、リピートしてもらいたい。」と、商品開発後の想いもあふれています。

そして高校生が作ったレシピは、高知県にある黒潮町缶詰製作所で製品化されます。こちらの工場は、原材料に7大アレルゲンを使用しないことを大切にされています。缶詰は、非常食としても活用されます。「いざというときにアレルギーで食することができないことがないようにしたい」という想いに共感し、お願いすることにしました。また、缶詰にすることで骨まで食べられます。魚の骨などに含まれているカルシウムやミネラルをしっかりとることができ、栄養面も考えられています。

 自宅で過ごす時間が多くなったあなたへ。少し贅沢な逸品で笑顔に

▲開発中のアマゴのアヒージョの缶詰の試作品

地元の方がおすすめする滑床アマゴやニジマスの食べ方は、刺身で食べること。だからこそ、松野町に来ていただきたいという想いであふれています。

そこで、まずは一人でも多くの方に滑床のアマゴやニジマスを味わっていただくために、お土産や贈り物に、そして自分へのご褒美に最適な缶詰にしました。そしてコロナ禍により自宅で過ごすことが多くなった皆様に、少し贅沢な逸品を味わって笑顔になっていただきたいと、加工もしやすく、またおつまみにもなるアヒージョで大人の味に仕上げようと考えました。

▲開発中のアマゴのアヒージョの缶詰の試作品

アヒージョとは、オリーブオイルとニンニクで具材を煮込んだスペイン南部の料理です。オリーブオイルにはニンニクとアマゴやニジマスなどの旨味が溶け込んでいるため、パンなどに浸して食べてもおいしいです。おつまみとして、お酒と一緒に楽しむのもグッド!また、キャンプなど大自然の中で手軽に楽しめるアイテムとしておすすめ!そのまま食べてもよし、少し温めて食べてもよし、アレンジしてもよし、と簡単に楽しめます。

そして、ついに商品が完成

いろいろと意見交換をした結果、最終的には「ニジマス」や「アマゴ」の魚本来の味がより感じられる味付けで調整しました。

試食として、熱したフライパンに、ニジマスの切り身とオイルを全部のせ!
じゅぅ〜〜〜という音とニンニクの香りがたまりませんでした。

箸で”ふわ〜っ”とほぐせるほど、身は柔らかいです♪
ニジマスの味がシンプルなので、ビール、焼酎、日本酒など、それぞれの飲み方に合わせたレシピがたくさん作れそうです♪

なぜFM愛媛が地域活性化に取り組むのか

私たちFM愛媛がこのプロジェクトで実現したいことは、「これまで支えてくれた地域への貢献」「地元企業の商品開発や販路拡大に貢献」することです。

1982年に全国で5番目、中国・四国地方で初の民放FM放送局として開局以来、地域に根付き愛媛の魅力をお届けしています。取材する中で、商品開発や販路に課題を抱えている県内の事業者や生産者が多くいることを知り、「これまでとは違った形で私たちにできることは何なのか」を考えるようになりました。

自社制作番組が6割を超し、民放FM局で一番歴史が長く放送できているのも、支えてくれた地域の人がいたからと思っています。だからこそ、貢献したい。そして、紹介だけではなく、県内の生産者や事業者と共に地域課題に向き合い、商品開発や販路拡大にも貢献し、「県内外の人に愛媛県のファンになってもらいたい」という想いで地域活性化に取り組むようになりました。

地元高校生と一緒に取り組んだ地域課題

そして、実際に、地元のみなさんと一緒に、いくつかの商品開発・販路拡大に取り組んできました。

中でも、上浮穴高校のみなさんと一緒に開発し、販路拡大に取り組んだ「まろやか高原カレー」「桃太郎とまとハヤシソース」は、地元スーパーや道の駅など、多くの店舗で取り扱っていただけるようになり、累計12,000個以上もの販売につながっています。

「地元野菜の食品ロスをなくしたい」という高校生の声からはじまったこのプロジェクトは、食品ロス削減とともに、地元のみなさんからも喜んでいただけるものとなりました。

▲上浮穴高校の生徒のみなさんと一緒に開発したカレーとハヤシソース

今回の企画も、松野町の人や生産者と共に地域課題に向き合い、地元のネットワークを活かして『声』で届けて共感者を増やすことを目的にしています。またこのクラウドファンディングを通して、愛媛県外の人にも取り組みを知っていただき、愛媛県のファンになってもらいたいと想いで立ち上げました。

最後までお読みいただき誠にありがとうございます。

→ ご購入はこちら